【インタビュー】パチンコホール不動産市況「2024年総括」と「2025年展望」|株式会社プロパティー三戸浩社長

A級物件価格が上昇傾向 物件選定の重要性は継続

遊技機価格高騰化に加え、新札の登場という外因も加わり、多額の設備投資を強いられた2024年。M&A取引については、やや落ち着いてきた印象もあるが、今後の見通しはどうなのか――。パチンコ業界で幅広く不動産仲介をてがける㈱プロパティーの三戸浩社長に聞いてみた。

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──2024年は、活発なM&A取引が交わされた2023年から一転、比較的落ち着いた状況であったかと感じていますが、三戸社長は2024年のホール向け物件の取引状況をどのようにご覧になりましたか。

いい物件については、価格の高騰化がかなり進行しました。価格が低い物件も決して少なくないのですが、いわゆる超A級といわれる物件については、価格の上昇幅が大きくなっています。

──その要因についてはどのようなことが考えられるのでしょうか。

昨年以降、いわゆる「のれん代(営業権)」は下落傾向にあったのですが、ある程度の水準で下げ止まった印象です。やはり、業界環境が最悪期を脱したことから、無理して投げ売りする必要が無くなっていることが大きいと思います。それに加えて、本当に厳しい状況にあった店舗の多くが淘汰されていったこともあると思います。

──今後の見通しが良化してきたということなのでしょうか。

例えば新札対応にしても、そこまで急いで行う必要が無くなっているのが現状だと思います。5〜8月くらいには、改刷を機に閉店が増加するなどという話も拡がりましたが、結局、憶測に過ぎなかったということだと思います。そういった背景もあり、様子見でいた方々が、閉店する必要性を感じなくなっているのではないでしょうか。一部閉店している例もありますが、その多くが戦略的な閉店ですので、事情がこれまでと異なっています。

──そうなると取引される物件数は減少するということになりそうですか。

一概にそうとも言い切れない部分はあります。というのも、閉店予備軍は未だに多いと思いますし、5年、10年と、業界の将来に対する不透明感が払拭されていない状況を踏まえ、売却を考えているオーナー様は存在すると思います。一方、遊技機の調達が困難になっている現状が、物件取引にマイナスの影響を与えている一面もあると思います。

──それはどういったことなのでしょうか。

投資意欲が旺盛な企業でも、供給される人気の高い新機種の販売台数が制限されていることで、遊技機調達が思った通りにいかなくなってきています。それにより、既存店の増台だけでなく、新たな出店に躊躇せざるを得ない状態を引き起こしています。

株式会社プロパティーが入居する渋谷区東の「渋谷プロパティータワー」。渋谷駅新南口から徒歩4分という好立地。

The original article is “GREENBELT.”

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